
Art of Lifeとは、生き方という意味。
インタビューで発せられた想いを
そのまま起こすスタイルにしています。
世界で活躍する人達の
生き方をテーマにインタビュー
~Art of Life Interview~
森沢きょうこさん
東京都都議会議員
Tokyo
【垣根を越えて行く】

新しいチャレンジをした結果、それが繋がって行くと示せれば、同じ様に既存の在り方じゃないことに、チャレンジする人が増えていく。
無理をしないで自分らしくイキイキと生きられる。
自分がこれを体現したい。
— 現在、どのようなお仕事をされていますか?
東京都都議会議員です。
東京都政について議論をしたり、東京都があるべき方向について意見、提案をしたり。地域の声を聞いて、それを都政に届ける仕事です。
2年前に選挙に挑戦して、今任期2年になり折り返し、後2年任務があります。
— その2年前が政治家へなろうと思った、初めての挑戦だったのでしょうか?
必ずしも、政治家になりたいと思っていた訳ではないのですが、大学が政治学科で、日本政治を研究するゼミに所属していて、政治に関心があったのが一つ。
大学の卒論研究テーマが「少子化を通して考える、これからの日本のあり方」だったのです。
結婚、出産などライフイベントを経ても、女性が働き続けられる環境、日本であって欲しい。女性が働き続ける上で課題があるという認識をしていて、社会制度の兼ね合いなど、研究、調査していたのです。
その頃も、世界経済フォーラムが公表している「ジェンダー・ギャップ指数(各国における男女格差指数)」で、日本はものすごく低くて、ビジネスや政治の場に女性が少ないという認識があった。
大学を卒業後、テレビ局の記者や企業の広報としてのキャリアを積んでいたのですが、夫の関係でシンガポールに。その時に正社員を辞めてついて行って、子育てをしていたのです。
帰国後再就職となったときに、小さな子供を抱えての再就職は難しい。プラス保育園を探すのは難しいと、自分自身がこの問題に直面したところであって。
そんな折に、東京都知事の小池百合子さん主催する「希望の塾」が開講されると聞いて、勉強したいなって思って入った。結果として、「東京都都議会選挙」が間近にあって、政治の世界に女性が少ないと思っていたので、だったら自分がチャレンジしてみようかなと思ったのです。
元々持っていた問題意識と、この選挙のタイミングが合った。それで実際に当選させて頂いた。
— なるほど。そもそも政治学科を目指されたこと、社会に出てからも元首相の小泉純一郎氏の番記者を務められた。その流れ中にいらした一方で、実体験として、その課題に直面したのですね。
保育園で出会ったママ達が、疲れながらもなんとかやっているという状況で。もっと働き方が柔軟にならないかなって。
今では「働き方改革」と進めていますけど、多様な働き方があれば、多様な保育も必要になってくる。
フルタイムか辞めるか?フルタイムで働いていないと保育園に入るのは難しいし、保育園に入れないと働けない。
実社会が、これからのあり方と合致していないと思います。
—実際に再就職する時に、どんなところに一番難しさを感じたのですか?
残業ができないって、一般的な応募ラインからは難しいと感じたことですね。
実際、いきなりフルタイムで二人の子供が居ては難しいかなって思いましたし、最終的には週に3日の契約社員で、すごく理解のある会社、上司に巡り会えたのでスタートできた。
多くの人は、就職活動中に諦めてしまう人が多いと思う。
— なるほど。持っているスキルや得意の前に、社会制度のあり方として、もう難しいって感じられたのですね。
いまは随分変わって来ているとは思いますが、子供が小さい時のライフスタイルに合わせた働き方を、うまく緩急つけられる社会。これは、女性だけではなく男性も同じですが、完全にいつもフルタイムが前提というのは、難しくなっていると思います。
組織や経営者にとっては、多様な働き方をマネージメントしていくのは難しいとは思うのですが、世の中全体として変わってきていると思います。
—そんな中で、両立していかれたのですね。
保育園も上の子は近くで見つかったのですが、下の子は毎朝抱っこして隣の駅まで預けにいくという、ライフスタイルになりました。
ただ、多くの方がここまでして、働こうとは思わないかもしれませんね。
そんな方達の働く機会を損失しているなって思ってしまう。私は、働きたいと思っていたので、なんとかして見つけたという感じです。

— なるほど。そんな中で新しいライフスタイルが作られていって。
私のモットーとしては、「無理をしないこと」これをすごく大事にしていて。
周りのママ達は、頑張って体調を崩しちゃう方もいたので、無理をしないで割り切ることを大事にしていましたね。
— それは、例えばどんなことでしょうか?
睡眠を十分取らないと無理と分かっているので、たとえ終わってなくても、12時過ぎたらもう寝る。
片付けも明日やればいいじゃんって、そう割り切るのは大事。諦めが早いというか、自分を追い詰めないのは大事だなって思いました。
— 追い詰めない、それは大事ですね。
ただ、その時思ったのは、仕事も100%。さらに子供を迎えに行って、家に着いてから、これも100%。
どちらも手を抜けない。どちらも100%となるから、ある程度の割り切りは大事だなって。
— 本当にそうですね。その願ったライフスタイルになってきて、どんなきっかけで、ご自分が政治家になろうと思ったのですか?
大きいのは、小池百合子さんの「希望の塾」に行ったこと。
初めて女性同士、世間話をするように政治のことを話せる人たちが集まっていて、それが心地良いと思ったのが大きかったですね。
そんな仲間がチャレンジしていったのもあったし、女性議員を増やすという流れがあって、それを思っているだけではなくて、自分がチャレンジしてみようと思った。
これまでがそうであったように、まずは体験してみようと。
— きょうこさんの中では流れの先のステップで、全く違い世界に足を踏み入れたという感じではなかったのですね。
元々の問題意識、子育てしている人たちや女性の声が、世の中のあり方に反映されるといい。
機会があるのだから、やってみようと思った。
— そうは言ってもね、ブログを読ませて頂きましたが、ひとり拡声器を自転車に乗せて、選挙活動を?
そうそう(笑)
政治記者の時、政治活動を見ていたつもりでしたが、自分でやってみると全然違うというのはありましたね。
— 公共の場で自分の声をあげるって、どんな気持ちでしたか?
恥ずかしかった(笑)
政治に関心があるとはいえ、自分が会社員だった頃に駅前などの演説に、それほど注目していなかった。自分の生活、仕事のことで精一杯でしたから。
— 最初に何を言ったのか、覚えていますか?
覚えてないです(笑)
見て下さる人がいて、声が小さいとかフィードバックを頂きながら。
—すごい勇気ですよね。講座で話すのとまた違うものね。
鍛えられます(笑)
だって、みな素通りしていきますよ。
どうやったら聞いてもらえるかを、段々と考えるようになる。最終的には、喋り続けることで形になったと、見て下さった方に言ってもらえるようになりました。
もう、OJT(現任訓練)ですよね(笑)
場数を踏むこと。

— 旦那様は、それまで会社勤めの奥様だったのが、急に立候補することになって、どんなことを思われたと考えていますか?
それでいうと、結婚するタイミングでお互いに話したのが「自由にやる」と話していたので、それが根底にあったとは思います。
とはいえ、さすがに選挙に出るというのは、「大丈夫なの?」って、なんとなくブームで終わっちゃう人もいる中で、とても冷静に聞かれたことはありました。大手を振って賛成というわけでもなく、仕方ないなってレベルだったと思います。(笑)
ただ、選挙の時は一週間有給休暇を取ってくれて、ずっと隣で旗を持って歩いて協力してくれました。今も、夜や週末の活動があるのですが、夫が子供達をみてくれています。
— いまいろいろな活動をしてきて、また海外から見た経験も含めて、ご自身が思う「東京」は、どのようになっていったらいいなと思いますか?
一つは、もっともっと多様性、ダイバシティが進んで欲しいなと思っています。
来年パラリンピックもありますし、障がいの有無にかかわらず、もっと生き易い、暮らし易い街にしていきたいなと思っています。
今はどうしても、子育て中の女性にフォーカスがされやすくて、「女性活躍」って言いますけど、私はこの言葉も無くしたいなと思っていて。どちらかだけが頑張るのではなく、男女共に、私のモットーの無理をしない、「無理をしないで、自分らしく生きることが実現できる街」に出来たら良いなって思います。
真のダイバシティ。
多様性を認め合って、違いを認め合って、それぞれが自分の持てる力を自分らしく発揮できる。理想としてはありますね。
いま注目しているのは、「男性の育休取得」です。政策的に支援することで進んでいけばいいなと思っています。
子育ての面でいえば、女性だけではもう限界があるので、男性が家庭に参画していくこと。社会全体でこのような流れが出来るように、支援をしていきたいなと思っています。
あと、障がいあるないに関わらず、一緒に小さい頃から学ぶ、その接点を持つ場を作っていきたい。障がいのある方が働く場もまだまだ少なく、低賃金だったりするのですが、少しでも色々な形で、社会参画することも重要だと思っています。

— 多様であるというのは、みんな違うということですが、実はこの“違い”を、知らないことが多いなって思うのですね。私たち日本人は、“なんとなく皆同じ“とされた中で、これを打破するためにもまずは、”多様な違い“を知ることだと思うのですが、我々は、どんなことから始めたら良いのだと思われますか?
一つは教育だと思っています。
例えば、どうしても学校では、障がいをある子供たちと分けられてしまっている。小さい時から接点を持つことが、重要なのかなって思いますね。
先日開催した「Tokyo Cross Point」のイベントをやった時、難聴の方がいらしてくださって、やはり接点を持つことで新しい視点を持つことが出来た。
今はバリアフリーなど環境設備も整ってきて、これまで出ていらっしゃらない方達との接点は、もっと増えていくように思います。自分から積極的に多様な違いを知ろうとすることは、重要なのかと思います。
— 本当は、気づいたら隣にいるねというのがいいと思うのですが、いつからそうなってしまたのだろうね?と言うのは、私が小学校頃には、校内に特別なクラスがあって、一緒に給食を食べたりする時間があったのよね。
そうなのです。今はまた戻りつつありますが、一時期分けられるようになってしまった時期があって。
障がいあるなしだけではなくて、色々な違いってあるのですよね。そもそも、みんな違うのだよね?その違いってなんだろう?を、知ること。違っていい、ありのままでいいのだよってことを知ることも大事。
教育が、その一つではないかなと思います。
— 無所属 東京みらい主催の「Tokyo Cross Point」。これはどんな想いからやろうと思われたのですか?
新しい政治、政治家のあり方は、これでいいのだろうかとずっと考えてきて、新しいやり方に挑戦していきたいということを、2年間思い続けてきた。
周りからは政治家ってこうだよね、この様な活動しないと次回当選しないと言われる機会があって、本当にそうなのかな?って。
そういった中で、「今の私たちの都議会議員の存在意義ってなんだろう?」と。
投票して下さった方達からは、どこか新しいこと、今までとは違うことをやってくれるのではないだろうかという期待があるだろうな。とはいえ、これが新しいやり方ですって、答えを持っている訳でもないだろう。
色々と考えた結果、政治家だけではもう答えを出せる時代ではない。
高度成長期には、大きなリーダーシップを持っていくことが一つのあり方で、それが正しかった時代もあったけど。
いまこれだけ価値観が多様化していて、民間では新しいイノベーションが起き、時代の変化が早い中では、政治家が答えを持っていないと感じていて。
そういった時に、政治家と政治家コミュニティーと関わっていただけでは、時代に残されると思った。
この前の参議院選でも投票率が50%切っていて、世の中の半分の人が政治に関心ない。それは政治、政治家が生み出しているのだなって思った時に、「じゃ、どういうあり方がいいのだろう?」と。
自分達から、色々なコミュニティーに踏み出していく必要があるよねって思いました。
民間からも政治に少し近寄って欲しい、政治家も民間に寄る。民間も政治家もクロスする、お互い行き来できるという意味で「Tokyo Cross Point 」。
もし、同じ方向を見ていたら一緒にプロジェクトとしてやってもいいし、違う方向であれば、それでもいい。その交わる交差点としてのコミュニティーができればと思っています。

— いいですね。政治家というと、どこか遠い向こう側の人というイメージがありました。
そうですよね。それが選挙を遠ざけてしまっているのかもしれない。
これまでと同じことをやっていても意味がないので、自分達ができるチャレンジ、新しい政治家とは?を模索して行くことが、今の存在意義だと思ってやっています。
— あと2年間任期があるといことですが、いまどんなビジョンを描いているのですか?
今のチャレンジを形、政策提言につなげて行くこと。できれば政治家として続ける。
新しいチャレンジをした結果、それが繋がって行くと示せれば、同じ様に既存の在り方じゃないことに、チャレンジする人が増えていく。そういうロールモデルになれたらと思っています。
— いいですね!そして、東京都はずっとあり続けるだろうからね。
それでいうと、官民連携。
行政だけではもう答えは出ないと思うので、行政と区民、都民がどう連携して行くか、どうやって区民を巻き込んでいくか、どう声を届けるかが重要だなって思う。
議員はそのコーディネート役というか。どうしても行政の言葉遣い、説明が難しい。コミニュケーション出来てないなって思うことがあって。
— 答えがない。これは同じように色々な分野、業界でも言われていますね。答えを探しに行くというより、全員でその答えを作っていく世の中かもしれませんね。
垣根を越えて行く。
社会制度のあり方は行政がするのだけど、アイデアとか、こうした方がハッピーになるというのは、住民のみんなが持っている。
だからこそコラボして、一緒に考えてやっていくことだなと思います。
— グットタイミング。今こそ、我々都民の声が届きやすい時代になっているのですね。
そう思います。
例えば、ガバメントクラウドファンディング(納税制度を活用して行うクラウドファンディング)という行政が民間から寄付を募るプロジェクトに、参画することで関わるというのもある。
自分の地域がこんな風になったらいいなって思ったら、それを探して、活動に参加していくことも大事だと思います。
—もし、あの街頭に初めてたったあの自分が、今のご自身にメッセージを投げるとしたら、どんな言葉が浮かびますか?
「チャレンジしてよかったね!」
今が一番楽しい。
この立場でチャレンジできることを幸せだし、面白いなと思っている。充実していて、色々な人との関わりの中で、新しいことにワクワクしていて。
この2年間でさらに形にしていきたい、道筋を作っていきたいと思います。

— 私は、皆自分の人生でこの世界に何か種まきをしていると思っているのですが、もし、きょうこさんのこれまでの人生を振り返って、また、これからの人生を思うとき、どんな種を蒔いていると考えますか?
無理をしないで、自分らしくイキイキと生きられる。まずは、自分がこれを体現したい。そういう人が増えて欲しいと思う。
— 無理をせずが、キーワードなのですね!
もちろん、色々なことをやっていく中では、無理をすることもあるとは思いますが、出来るだけ自然体でいたいと思っています。
今年になってからより、自分がやりたいと思っていることがストレートに表現できているので、本当に楽しいです!
Ms. kyoko Morisawa
慶應義塾⼤学法学部政治学科卒業後、⽇本テレビの報道局記者、政治部で⼩泉純一郎元⾸相の番記者、森ビル株式会社広報室に勤務。その後シンガポール生活を経て帰国後、株式会社みんなのウェディングの広報、株式会社リブにて法⼈営業に従事しつつ、女性向けキャリアセミナーなど実施する。2017年7月東京都議会議員選挙で初当選し、都市整備委員会に所属。現在、無所属東京みらい 広報公聴担当、「Tokyo Cross Point」主宰など幅広くご活躍中。
amebaブログ
https://ameblo.jp/kyokomorisawa/
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無所属 東京みらい 公式ホームページ