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Mr Guillaume Pace
Eiffel Markets Pte. Ltd.
singapore

【教養を農業に還元する】

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21世紀の優先事項は、自然を尊重することだと思っています。歴史の転換点にいて、私たちの今日の決定は、将来の世代に大きな影響を与えることは間違いありません。

もはや環境への影響を無視し、これまでの生活様式、ビジネスのやり方を進めていくわけには行きません。

​私たちがすべきこととして、より意味のある何かが他にあると思っています。

ー なぜ、ワインのビジネスを始めたのですか?

 

ワインは20年ほど飲んでいますが、2012年、シンガポールでワインを扱う会社に入り、本格的にワインのビジネスを学び始めました。

 

その一年後、素晴らしいワインとはどうあるべきか?というビジョンと理解を持つフランス人カップルに出会ったのです。彼らは既にフランスのワインメーカーと良好な関係を持ち、それらをシンガポールに輸入したい、環境と消費者を尊重している小さなワイン醸造業者を取り扱いたいと思っていました。

私もすでに飲食業の専門家達とのネットワークがありましたので、彼らのビジネスに加わって、新しいビジネスの展開を始めたのです。 それから既に5年経ちましたが、私たちはまだ3人でやっております。

ー 私が初めてシンガポールに来たのは、2002年、そして2010年から2度目の滞在をしますが、当時ワインはそれほど飲まれていなかったのを覚えています。また、シンガポール人の多くは、アルコールを飲まないですよね。

 

2000年代初めより多くの外国人がシンガポールに来て、ワインの需要が高まったと私は信じています。今日ではワインだけでなく、ビール、ウィスキー、スピリッツ、日本のお酒も飲まれています。さらに色々なものが提供され、シンガポールマーケットでは、ほぼ毎日の様に新しいことが起きていて、数年前と比べても急速に変化しています。

 

全体的にアルコールの消費が増え、100万人が定期的にワインを購入しており、シンガポール市場は毎年3億ドルに達すると推定しています。

 

 

 

ー 今は、多くの人がアルコールを楽しんでいるのね。とは言え、それでもまだ、"オーガニックワイン"はあまり知られていないと感じています。

 

面白いですよね。現実には、1万年以上前からオーガニックワインは作られているのです。農薬、除草剤、NPK肥料、あらゆる種類の農薬製品を使用し始めたのは、第二次世界大戦後からですよね。これを「グリーン革命」と呼んでいるのですが、農業の重労働を避け生産性を上げるために、機械や化学薬品を使用することになったのです。

 

三世代経って、やっと我々は合理化と標準化の欠点に気づきました。残念ながら、既に西ヨーロッパの生態系は崩壊寸前にあり、土壌は破壊され、川は汚染され、昆虫や鳥は消えています。モノカルチャーが生物多様性を壊しました。

 

今になって、私たちは自然を制御することができないと気づき、持続可能な農法に戻すこと、消費者は有機的で、自然な製品が良いと気づき始めたのです。これらは、ほんの最近のことで、恐らく2010年頃からの現象ではないでしょうか。

 

現在フランスでは、オーガニックワインの市場が前年比で、17%も増加しています。 これは、オーガニックワインメーカーが1年で生産するよりも多く人々が求めています。供給より、多くの需要があるということです。

 

我々が、2013年に「EIFFEL MARKETS」(エッフェル・マーケット会社)を開始したとき、シンガポールでは、まだほんの一握り方達が、オーガニックワインを知っているという感じでした。我々の扱っている商品の殆どが、オーガニック、またはバイオダイナミックとして認証されたものばかりですので、開始当時から、我々の焦点はここと決めて、オーガニックワインとは何かを知ってもらうために、ワインテイスティング、ワインディナーを定期的に開催してきました。5年経ってみたら、以前には想像もつかなかった程、より多くの選択が得られるようになって、これまで以上にナチュラルワインを取り扱うところが増えました。

 

よって品質は上がり、価格は下がり、消費者のためには良いことですが、利益率は低下しており、正直私たちには厳しいのですが、、、これは健康な傾向で市場が正しい方向に進んでいることだと思うし、私は有機農法以外、これからの農業の未来はないと信じています。

 

ー シンガポールでは、オーガニックワインを扱っているところは、増えていますか?

 

ここ1〜2年、 "Wine RVLT"や "Le Bon Funk"など、ナチュラルワインバーがオープンしました。 10年前までは、想像すら出来なかったのに、オーガニック、バイオダイナミック、ナチュラルワインを専門で扱うお店が増えています。

 

ー それほど多くの人が認識していなかった頃、そんな中でのオーガニックのワインビジネスを始められたのは、大変だったと想像します。

 

2013年に始めたとき、私がとても驚いたことって、どんなことだと思いますか?多くのお客様がオーガニック製品を疑っていたこと。オーガニックワインって、ちょっと泡たっていたり濁っていたり、納屋のような匂いがしたり、酢のような酸性を持った欠陥だと思っていた。供給が安定とは言え、多くの方が低温殺菌、ろ過され、添加物が多く含まれたワインに慣れてしまって、本来の味が麻痺しているのかもしれないと私は思いました。

 

私にとって、「オーガニック」は、直感的に優れたもので、良い葡萄は、良いワインを作ると思っています。

 

オーガニックワインは、標準化されたワインよりも脆弱で安定性が低いことは事実ですが、それは生きているものであり、時間の経過とともに進化し続け、フルーティで、鮮やかで、しっかりとして、そして豊かなもので。何も味に飾りたてるものは必要ないものです。

 

どの様な土と気候によって育てられた葡萄なのかを、とてもよく表しているもの。それこそが本物のワインなのです。

 

私たちのワインを試して下さったお客様達の圧倒的な反応は、喜んでいただけています。よく言われるのは、とても飲み易く、定量を飲んでいる限りは、翌日二日酔いになることや、頭痛や胃炎になることはない。これまでワインを試されて、不満に思われた人はいなかったです。これまで飲んだどのワインよりも味も値段も良い。

 

こうした肯定的なフィードバックを頂いてきて、私たちは正しい道を歩いており、正しいことをしているのだと改めて思っています。

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ー 沢山の個人顧客もいらっしゃると聞きましたが、どの様にして直接そのお客様達と接する機会を持っているのですか?

 

ワインテイスティングを定期的に行っています。私たちはブランドを売っているわけではなく、大きなマスメディアには関心がありません。自分たちでワインを開けて、買ってみたいと思って下さるお客様に、試してもらう機会を設けています。

 

なぜ、これをお勧めするか、このワインがどこでどの様に作られたのかを1時間ほどお話しするのは難しいことではないですが、最終的には瓶を開け、ワインをガラスに注ぎ、色と香りを味わい、お客様に試してもらわなければなりません。

 

千の言葉より、一杯のグラスワインです。

 

実際に試して頂けると、みなさん好きだと言ってくれます。オーガニックで育った葡萄の味ですからね。遺伝子組み換えのされた葡萄や、種無し葡萄、農薬と肥料で育てられたものに、ジュースを足して発酵させたものとでは、どうやっても違いますよね?

 

 

 

ー 農業の持続性は不可欠だとお話していましたが、これはビジネスでも同じですね。そのためにも通常ビジネスを始めて、多くの場合広告宣伝に投資することがあると思います。でも、あなたのビジネススタイルは逆ですよね。これについてどう思われますか?

 

私たちは3人しかいない小さな会社です。フランスのみからワインを輸入し、レストランや個人顧客様に供給させていただいています。

 

ワイン産業は大きなビジネスです。

 

年に数百万のボトルを生産し、世界中で数百万ドルの売上高を生み出す多国籍会社もあります。ですが、私たちは大手企業と同じカテゴリーで、戦っているわけではないです。

 

大企業は、大企業と取引を行い、世界中のスーパーマーケットや免税店、航空会社や大規模なホテル&レストランチェーンに提供しています。ワインセラー、ワイングラス、コースター、コルクスクリュー、バケツ、ボトル、、、これら無料のサンプルやインセンティブなどを引き換えに、独占契約を結びます。私たちは小規模生産者と協力して、小規模事業者にワインを提供する小規模企業です。 まったく仕事の範囲が異なります。

 

例えば、私たちは「Clos des Quarterons Cremant de Loire」という、優れたスパークリングワインがあります。非常に限られていて、年間5,000本しか作られていません。

 

 

 

ー それは、とても限定品ですね。

 

とても小規模で、誰もがこのワインを試すことはできず、世界中を探してもないでしょう。ワイナリーを訪れて直接交渉し、自分は品質を理解していること、慎重に扱って、このことが分かる者に届けますと、納得させることが出来なければ、見つけることは不可能だと思います。

 

一方で、一番大きなスパークリングワインメーカーは、年間約6,000万本のスパークリングワインを生産しています 。私たちと比べたら、12,000倍です。

 ​

想像してみてください。私がシンガポール中のレストランのドアを叩いて、そのお店の方々に、この貴重なスパークリングワインを1本、2本とそれぞれに試飲して頂くために開けるのです。多国籍会社は、全営業チームが同時に100本のボトルをサンプルとして配ることができます。大量生産されていますから、他の国でも同様に一斉に出来ますね。

 

皮肉にも、多国籍会社が貴重だと言われるそのワインは、厳密には世界中のスーパーマーケット、レストラン、ワインショップに置いてあるのです。これらを “贅沢な高品質で限定されたワイン”であると、人々に納得させるために、多くのお金を宣伝に注ぎ込むのです。

 

「マスティージ」と呼ばれるものですが、より多くのマーケティングをするほど、高価なものという印象になります。それらすべてのマーケティング費用が、そのワインの価格に含まれているのです。消費者は少なくとも50%、これらマーケティングのために支払うことになります。これはもうワインを買うということより、「プレステージ、夢、贅沢」などに、お金を払っているということですね。

 

なので、私たちはこれらと競争しようとは思っていません。私たちは、本物のワインにフォーカスし、小規模で限定的がゆえに、過小評価されて、取り上げられる事も無かったような、お金よりも価値のあるもの。

 

最良の価格で、最高の品質をお届けする。非常にシンプルで効果的な、「Down to Earth (現実的な)」マーケティング戦略です。

 

 

 

ー その意味でも、あなたのビジネス哲学は "オーガニック"だと思います。それはとても興味深いです。

 

はい、私たちはワインを販売しているだけでなく、私たちの活動の環境への影響も考えます。ワインは良いものでなければなりませんが、気候変動を緩和し、土壌の肥沃度と水資源を維持するのにも。葡萄園では野生生物や生物多様性を与えなければなりません。

 

たとえば、より多くの樹木を植えること、石の壁を建てること、または池を掘ることは、鳥、コウモリ、カエル、トカゲや齧歯類を招きます。一旦、有機葡萄にしたら、出来るだけ自然に行い、機械や添加物を使用することなく、ワイン製法までクリーンなければなりません。大量生産と職人のワイン造りには、大きな違いがあります。

 

繰り返しますが、量と品質共に逆方向です。スーパーマーケットチェーンなどでは、在庫がなくなるリスクを嫌うため、量と一貫性を求めます。私たちは小さな職人の生産者に焦点をあて、小さな職人達に光を与えたい、人々良いワインを試してもらいたいのです。

 

とはいえ、輸送はまだ解決されていない問題です。

 

これは私たちも同様に考えなければならない問題ですが、世界各地で商品を運ぶ際には、これらのトラック、船舶、航空機のカーボンフットプリント(商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量)が何であるか、疑問に思う必要があります。

 

スイスでは航空貨物の使用を禁止する有機認証があります。しかし、これは現状とても難しいですね。 私たちの生活様式(購買の)が、近々大きく変わるということはないと思うので、輸送に関するエンジニア達が、これらを向上させる方法を見つけることを願っています。

 

 

 

ー これらに関する教育も大事ですね。近年シンガポールでは、ワインに限らずですが、オーガニックなライフスタイルに変化してきているように思います。

少し、そうですね。シンガポールでは、アルコールを飲むことによる健康への影響を懸念し、すぐにオーガニックワインを促進させるとは考えてないと思いますが、あなたの言うように、今では車の数が制限(保有規制)されていますし、スーパーマーケットには、より多くの有機果物や野菜があり、近代的な建物の設計は環境に優しいものが建てられています。

 

私たちの誰もが、環境のために何かをする必要があることを理解していると思います。パリで「COP21」を開催しました。政策決定者が一同に集まって、持続可能な未来を考える「世界サミット評議会」もありましたね。

 

自分のできることをしたいと思っています。例え、それが小さなことでも。ワインを売るだけではなくて、ワインを学ぶ機会を設けたい。ワインがどのように作られたのか、機械なのか、人なのか?そこで働く人たちの想いや環境が、私たちに健康にどんな影響を及ぼすのかなど。

 

これらの情報をもっと分かち合えればと思い、フェイスブックで、「ワインコミュニティ」を作ったのも活動の一つです。

 

 

 

ー ワインを通して、こんなにも多くのことを知ることができるのですね。 多くの人々がワインが好きですから。 みんながこのような知識を得るといいですね。

 

私も農業について多くのことを知りませんでした。なので、独学で植物の栄養、土壌微生物学、農法と持続可能性について学ばなければなりませんでした。

 

私たちはすばらしい時代に生きており、オンラインを利用すれば、色々な情報を得ることができます。ですから、毎日新しいものを学び続けています。

 

こうした教育が私の仕事の大部分であると思います。 その大部分は、農場で何が起こっているのか、毎日食べている植物や動物がどのように育ち、生産されているのか?私にとっては、これは本当に基本的な基礎知識であり、学校のすべての子どもたちも、学ぶべきだと思っています。

 

 

 

ー オーガニックの勉強を始めて、私は「木村農法(自然栽培)」を知りました。この提唱者の木村秋則さんは、初めて農薬や肥料を使わずにリンゴを栽培しました。自然農法の福岡正信さんの方が、海外では名が知られているかもしれませんが、二人をはじめとする自然農法を営んできた方たちの功績によって、日本でも持続可能な農法が見直されています。

 

 "何も加えず、何も奪うことなく、自然のまま。もっと生物多様性を奨励しましょう。“ですね。

 

季節的にバクテリア、ウミウシ、ミミズ、バグ、鳥類の出入りを招きます。これは従来の農業とはまったく異なり、丁寧なものを意味します。「グリーン革命」は、多量のダメージを与え、除草剤が侵食し土が痩せ、肥料や灌漑が石灰化つながり、農薬は動物や農場の周りに住む人々をも被毒させます。 三世代もならずして、肥沃な農地を砂漠に変えました。これは大惨事です。

 

一方、自然を見ると、何百年もの間、森林が成長しています。誰も木を切ったり、葉を取ったり、肥料を入れなくとも木は育っています。地面に落ちた木々や葉っぱは、森で硬い繊維を消化できる昆虫たちが這い回ることで、小さくバラバラにされます。昆虫の排せつ物や、食べ残した細かい繊維は真菌類、菌根を養い、その菌根はやがてバクテリアを育てる養分を提供し、バクテリアは植物が土壌にあるミネラルを吸収するのを助けます。そのサイクルは繰り返され、永遠に続いていきます。

 

この共生関係を通して、生命とは複雑であることがわかります。そろそろ、「教養」を「農業」に還元していく頃だと、私は思います。自然とは、“一冊の本”のようなものであり、この地球で暮らしたいと思うのであれば、それを読むことが必要です。

 

 

ー 私たち自身もまた、この自然のサイクルの中にいるのですからね。

 

国際連合事務総長の藩氏(Mr. Ban Ki-moon)は、「気候については、代替案はない。第2の地球はないのだから」と述べた。我々は窮地に追い込まれています。たとえ、スローダウンしても、20年、50年、100年後にはいずれこの壁に突き当たります。今すぐにでも、私たちの方向性、生活様式を大きく変える必要があるのです。

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ー なぜ、それほどまでにこれらのことに、興味があるのですか?

 

私は、好奇心が強いです。フランスのソルボンヌ大学に行き、そこで学ぶ方法を学びました。わからないときは、手を挙げて聞く。自分でわかったつもりにならず、聞く。

 

人に聞くのは恥ずかしいと言って、聞かないのは勿体無いことです。たとえ、馬鹿げた質問だと思っても、恥ずかしのは、たったの30秒ほどです。聞かずにいれば、それは一生の恥ですね。

 

 

 

ー 子供時代からそんな風だったの?

 

何かに興味があるとき、私は掘り下げます。知れば知るほどに、もっと興味深くなって行きます。それは円のようなものですよね。その知の中心にいるとしたら、初めは知らない領域も小さいものです。

 

知れば知るほど、知らないも大きくなっていく(笑)

 

これはワインだけではなくて、哲学、歴史、地理、科学、スポーツ、栄養、そしてアートなど、自分が生きている世界に、もっと興味を持つべきですね。

 

 

 

ー そうですね。商品は販売するまでに、多くの人々が関わって作っています。その人たちもまた多くの知識と哲学を持ってやっているのですからね。

 

彼らは"情熱"を持ってやっています。私もワインについて、情熱を持ってやっています。ワインは、一万年かけて作り出された文明の産物です。

 

ワインの世界は広くて豊かで、長い歴史を持ち、これを理解するには、地質学的、気象学的な理解が必要であり、葡萄栽培とワイン造りの両方の知識が必要です。それは終わりのないストーリーです。

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毎日、新しいものを一つ学び続けます。それは威圧的な感じに聞こえるかもしれませんが、退屈はしません。高校で歴史の授業は退屈だと思いましたが、いま、ワインの歴史と地理について読み、自分の国について多くのことを学ぶのは、しかもお金を頂きながらできることは、とても楽しくて実用的です。もしかしたら、教育のシステムもこのように変えるといいかもしれませんね。

 

 

 

ー 人生を振り返りながら、今、なぜここにいるのだと思いますか?

 

人生の最初の25年間をパリで過ごしましたが、飽きました。パリで一生を過ごすより、もっと他の国に訪れてみたいと思いました。

 

子供の頃の休暇といえば、通常はフランスの田舎に行きました。それはとても美しいのですが、限られたものです。25歳になって、私は十分大人。自分のことは、自分で決めて責任を持てるようになり、海外に行くことを決めました。

 

それで、バンコクのアライアンス・フランセーズで3ヶ月のインターンシップのために、2006年にパリを出発しました。とても楽しくて、そのまま4年間いました。その間に東南アジアを旅行し始め、その経験は私の目を広げてくれました。

 

 

 

ー ヨーロッパから、最初の海外はタイだったのですね。

 

オーストラリア、バヌアツ、タイからいくつかの仕事のオファーをいただきました。当時はまだ25歳。それほどお金を持ってなかったので、生活費の安いタイに行って、ここだって思ったのです。

 

 

 

ー その後、数年タイで過ごし、でも、フランスに戻らず、そのままシンガポールにいらしたのですね?(笑)

 

タイで4年が過ぎ、シンガポールで良い就職機会を見つけました。それから 8年経ち、実は一度もフランスには戻ってなく、まだここにおります。

 

来た所に戻ると言うのは、私は好きではありません。それはどこか後退する感じがします。きっと戻っても同じだって想像できるのです。あの頃と何も変わってないだろうなって。アジアのような前進する考えではなく、みな過去に執着して不平を言い合っている。ここは、いろいろなことにスピードがありますね。

 

 

 

ー その感覚、なんとなく理解できます。

 

アジアには確かに多くのエネルギーがあり、人々はより若く楽観的です。特にシンガポールは、ビジネスをする上で、とても良い場所だと思っています。

 

 

 

ー もう一度、ビジネスの考え方について伺いたいです。その考え方はちょっと古くて、新しいものであるように思うからです。このインタビューを読んでいる人、特にビジネスを始めたい人には、興味があると思のですね。

 

もう一度クリアにすると、「EIFFEL MARKETS」(エッフェル・マーケット会社)は、2013年4月にシンガポール在住のフランス人カップルである、DelphineとFredericによって設立され、同年7月に入社しました。私は、すでにここでワインを売っていた経験があり、彼らはフランスのワインメーカーと良好な関係を持っていました。そこで私たちはお互いを助けました。

 

シンガポールにはすでに、たくさんのワイン輸入業者がいました。通常、フランスのワインの輸入業者は、高価な希少ワイン、コレクタブル、高価なボルドー、ブルゴーニュなど、高いマージンを獲得していますが、シンガポールではフランスのワインの価格について、不平を聞かれます。一方で、スーパーマーケットや卸売業者では、低価格、低品質なワインをもあります。2〜3ドル節約できれば、どこで作られて、どこから来たのかは、重要ではないのでしょう。

 

私たちはこれらとは、別であるとする必要があり、私たちの個人的な信念は、小さな家族ワイナリー環境を尊重すれば、彼らは通常、高品質のワインを低価格で提案しているため、両立することができます。

 

誰もが幸せになる考え方です。

 

 

 

ー なるほど。どの位小さなワイナリーなのですか?

 

小さな家族経営です。大手のような宣伝広告もやってないです。ですから、試飲会のためのサンプルを送ってくださいとは、お願いできないほどで。良い価格の良いワインをお願いしているだけです。

 

フランス、恐らく他の国でも同じだと思いますが、ワイン生産者は3つのカテゴリーに分けることができます。

 

一つは、ワイン生産者、土地を所有して、その畑で育てる葡萄でワインを作ります。二つ目は、協同組合のようなものです。小規模な農家が一緒になっている組織です。全ての設備や利益を分担しています。最後の三つ目は、全国から葡萄を仕入れて、自分ブランドとして販売して行く業者です。

 

例えば、世界で最も高価なワイン、ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村で作られた「Romanee Conti 1945」。私が正しく覚えていれば、2018年10月にニューヨークで開かれたサザビーズオークションで、558,000USドル(六千三百万円)という値段がつけられました。

 

すべてのブルゴーニュレッドは、ピノノワールとシャルドネと一緒に作られていますが、その村の丘の上、坂道の真ん中にある葡萄畑なのか、またその土の状態、どのくらい水分が含まれていて、年間日照時間はどの位かによって異なり、価格も変わります。土、気候、水、太陽、絶妙な組み合わせによって、また他のものと一切混ぜることなく、これまでの栽培の習慣などが重なって、最も洗練されたワインを生産することができます。

 

ワインは理解しづらいですね。なので、フランス地図を広げてみることをお勧めします。

 

フランスは、東西南北、涼しく、暖かく、乾いて、そして水分があるなど、場所によって様々な気候があり、あらゆる種類のワインを作ることができます。白、赤、ライト、ボディ、フルボディ...すべてのワインスの品質の基準がありますが、今日でも、我々のワインマスターから学ぶために、世界中から人が集まっています。

 

 

 

ー 日本でも、「買い手、売り手、社会全体に利益をもたらすが良い」これを「三方よし」というのですが、さらにこれについて質問したいですが、あなたは何を信じて、このような考えでいると思いますか?

 

食品飲料業界で働くことを選ぶ人たちの殆どは、お金よりも情熱のためにやっていると信じています。もし、大金を稼ぐためなら、財務、石油とガス、またはITで働く方がはるかに良いですから。

 

個人的には、自分が「正しい」と信じていることをしようと思います。

 

環境保護のための権利、葡萄園で働く人々の権利、消費者の権利を守ることで、生計を立てることができれば幸いです。

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ー もし、自分の人生で、たった一つの果実を作る種を持っているなら。どんな実を育てていると思いますか?

 

私たちは意味があってこの地球に存在していると思います。まだそれが何かとは理解している訳ではないですが、心を開いて、周りで起きていることに興味をもっていきたいと思います。

 

将来的には、ワイン事業を超え、環境のために何か出来ればと思います。私は、21世紀の優先事項は、自然を尊重することだと思っています。私たちは歴史の転換点にいて、私たちの今日の決定は、将来の世代に大きな影響を与えることは間違いありません。

 

もはや環境への影響を無視し、これまでの生活様式、ビジネスのやり方を進めていくわけには行きません。​私たちがすべきこととして、より意味のある何かが他にあると思っています。

 

 

 

ー お話を聞きながら、あなたの好奇心は、より大きな世界を広げてきました。これからももっと大きな扉を開いていくのだと感じています。これから何かに挑戦したい、また新しいことを見つけていくことに少し迷いがある人に伝えるとしたら、どんなメッセージを伝えますか?

 

"Vote with your wallet. (お金を何に使うかを考える)"

 

今日の私たちが、明日どんな世界にするかを決めている。私は法律家たちや、大企業のトップ達がこの世界を変えていくとは信じていません。

 

変えることができるのは、私たち一人一人です。

 

例えば、10ドルを持っていたとして、それを加工食品、人工フレーバー、化学薬品の残留物、プラスチックラップなものを買うこともできますが、その反対に、生分解性パッケージで自然食品や有機食品を購入なものに使うこともできます。これらの値段が2倍、3倍なら私も少し考えますが、2、3ドル程度の違いなら、大丈夫ですよね。長期的に考えれば、今まで通りでいる方が経済的負担が増えるのです。

 

産業界は、愚かではありません。もし、彼らの作った製品が売れずに在庫になり、逆に環境に配慮した持続可能な製品の方が売れていると知ったら、どんなことになると思いますか?すぐに売る物を変えますから。

 

ですから、私たち自身が一丸となって、私たちの市場を動かせば、世界を変えることは難しくないと思います。もう他人を責めることをやめて、まずは自分ができることを、自分の選択に責任を持つこと。

 

もちろん、私も完璧ではないことを知っています。しかし、自分でよりよくするための努力は続けています。一歩、一歩ですが、自分の目標に向かって、そして、そこを目指す人たちとともに助け合って行きながら。

 

 

 

ー 本当ですね。とてもパワフルなメッセージですね。これが最後の質問になりますが、今後、他の国での展開はありますか?例えば、日本など。

 

私の妻は日本人ですので、彼女の美しい国を訪れて、 "紅葉"を見たいと思っています。残念ながら、今年は機会がありませんでしたが。シンガポールは大好きな国ですが、今後大きな影響を与えていく上でも、スケールアップする必要はあると感じています。

 

それを日本から始めるのは、良いと思っています。ひょっとしたら、2019年に?

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Mr. Guillaume Pace

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